無名の誰も訪れない墓

百姓記

カテゴリ：書籍

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01日 10月 2021

【書籍】「薬なしで生きる」岡田正彦

ほとんどの風邪は、ウイルスが原因となっています。ウイルスは細菌よりずっとサイズが小さく、マスクの生地なども簡単に通り抜けてしまうほどです。...

周防大島で野菜を育てたり、思索をする生活をしています。ほぼ畑のことしか考えなくなってきましたので、ひたすら畑のブログになります。関係ない話はサイドバーに並べます。

無名の誰も訪れない雑記

今昔、芸術家や博覧強記の違い

生まれたときから都市の中で育ち、田舎に移るまで、ずっと昔の日本の自然を題材にした文学や美術が、どこか自分には遠いもののように感じていました。けれども、こうして戦前の自然がそのまま残っているこの土地に暮らすようになって、ようやく、かつての人々の感覚や、彼らが見ていた風景の輪郭が少しずつ見えてきました。

私は、完全に人工物で覆われた大阪の中心地で育ちました。コンクリートとアスファルトに囲まれ、街路樹さえ管理された装飾のように感じる環境。そんな世界では、「ふるさと」を身体で感じながら育った人の感覚とは、どうしてもズレが生じるのだと思います。

「博覧強記」という言葉があります。今では、クイズ王のように、膨大な本や映像から得た知識を蓄積している人を指すこともありますが、昔の博覧強記たちは、きっともっと別の世界に生きていたのでしょう。

たとえば南方熊楠や梅棹忠夫、そしてここ周防大島なら宮本常一。彼らの記したものには、本や論文では得られない、自然の中で実際に目で見て、触れて、暮らして、そこから生まれた知恵や感覚が息づいています。

私もまだその入り口に立ったばかりですが、この土地で季節の風に吹かれ、虫や草の声に耳を澄ませているうちに、少しずつ、自分の中の「感じる力」が取り戻されていくような気がしています。知ることは、きっとまず「感じること」から始まるのかもしれません。

レオナルド・ダ・ヴィンチ《心臓の弁と腱索の図》

南方熊楠と梅棹忠夫